ジョージア州において提供されるインセンティブの大半は州ではなく市や郡のレベルにおいて提供されるものです。インセンティブには固定資産税の軽減措置など案件によっては数百万ドルもの価値を持つものをはじめ、工場用地における水道、電力、ガスなどの整備や、様々な許認可に関する手数料の免除などがあります。これらの大半は任意のものであり、地元の経済・産業開発局(Economic Development Authority、もしくはIndustrial Development Authority)がジョージア州憲法もしくはジョージア州の開発局に関する法律(Georgia Development Authorities Law)の要件に従い、地元における工業・商業施設の開発を奨励・促進し、雇用を創出するという開発局の目的に適うと判断される場合において提供されるものです。
このようなインセンティブは、税収入の喪失等、地元経済におけるコストを伴うものですから、企業が複数の投資先を検討している場合において誘致手段として提供されるものです。インセンティブを提供しなくとも係る地元に投資する企業には原則提供されません。また、そのような場合には、例えインセンティブが提供されたとしても、高めの開発局の「手数料」や「Claw-back」 など、インセンティブと引き換えに企業にとって不利な条件が課されることが一般的です。
従って、検討されている投資案件においてインセンティブの提案がある場合には、投資先を決定される前に、それらインセンティブの条件を細部にわたって交渉し、誘致契約書(Inducement Agreement)もしくは覚書(Memorandum of Understanding)等を交わされることが重要です。また、そのようなインセンティブの条件を交渉し文書化する工程はジョージ州における投資案件の様々な局面の中でも弁護士の付加価値が最も高いものの一つであります。
本資料はあくまでもジョージア州における投資を検討されている日本企業の皆様への情報提供を目的としたものであり、特定の事実関係を前提とした法的アドバイスを構成するものではないことをご了承ください。
[1] 「Claw-back」とは投資金額や雇用人数が当初の計画を下回った場合において、過去に提供された固定資産税の減免やその他のインセンティブの払い戻しを企業に義務付ける条項を指します。ジョージア州においてはまだ一般的ではありませんが、一部の開発局(とその弁護士)により提唱されています。